砂浜からの脱出: 食糧不足の冒険
華菜と和弥の二人は砂浜を歩き、数十分後に岩石に覆われた海岸を見つけたため、元の道を引き返すことにした。しかし、寝た場所から反対の方向に歩いても、砂浜はすぐに途切れてしまった。
「どうする…?」と和弥が尋ねると、二人は明るい焚火のそばで話し合い始めた。
「砂浜から離れる前に、ご飯が食べたい…」と華菜がつぶやく。よく考えてみると、彼らはあの大型旅客船を降りて以来、何も口にしていないことに和弥は気づいた。彼は、ある絵本で読んだことがあるが、人間は水だけで数十日間生き延びることができ、空気もなくなると数秒で死んでしまう。具体的な日数は覚えていないが、あの船に乗ってから少なくとも2日は経っているので、あと数時間で寿命が尽きる可能性があると、少々深刻なことを考えた。
周りを見渡し、バッグをもう一度探ると、一見何も食べ物がないように見えたが、ひっくり返すと、濡れてしまった日用品と共に、緊急食品セットとして缶詰が何缶か見つかった。
どの缶にも魚のイラストが描かれている。
「これ、食べる…?」と和弥が華菜に見せると、彼女は缶詰を目にした瞬間、素早く彼の手からそれを取ろうとした。だが、手で開けるのは無理で、しまいには涙を浮かべてしまった。
和弥は少しため息をついたが、すぐに気を取り直し、缶詰を開けるための道具を使って、二人はわずかな食料を平らげてしまった。しかし、食べるとお腹が鳴り、逆に食欲が増してしまった。
互いに目を合わせて笑い合うが、笑うことでさらにお腹が空くという悪循環に陥ってしまう。
「どうしよう…もう食べ物はないや…」と和弥が呟くと、華菜もその深刻さに気づいた様子だった。そして、二人は一緒に森を見つめる。
「もう少し探索する?」と和弥が尋ねると、彼女は「うん」と小さく答えた。
二人は再び森へと踏み出した。しかし、彼は荷物を置いていくのが良くないと思い、散らかった荷物をリュックに詰めることにした。しかし、一人では3つのリュックを背負うのは難しく、彼女が持っても2つしか持てない。どうしようかと周りを見渡していると、ふと思いついた。
「華菜ちゃん、これを船に積んで…」
「何をするの…?」
「この森林に繋がっている川を見つけて、そこから入ろう。」
「わかった。」
二人は砂浜にある荷物や乾いた着替えを全て船に乗せ、和弥が操舵室に入ると、数分後に船のエンジンが始動し、動き出した。和弥はパネルを見ると、今この船には約3日分のエンジンを動かすためのエネルギーがあることがわかった。
3日分では足りない気もしたが、仕方なく和弥は船を手動で操作し、内部に入るための川を探し始めた。