目覚めの瞬間: 不思議な砂浜の物語

和弥は目を覚まし、目の前に裸で眠る華菜を見つけた。

驚き、彼は離れようとするが、背中に何かが突っかかる感覚を覚えた。華菜が無意識にキスを求めて、彼がその誘惑に応じると、自分の手が彼女の背中に触れていることに気づき、二人が寝ている間に互いに抱き合っていたことを理解した。

その瞬間、華菜がゆっくりと目を覚ます。

「おはよう…。」

「…おはよう…。」

彼女はまだ寝ぼけているのか、自分の姿に気づかない。

彼は彼女から離れようとするが、華菜が何か言おうとする。「ちょっとまってて。」と彼が言うと、彼女は静かに待つ。

再び自分のバックの元へ向かうと、昨夜の漁の痕跡が残っていた。

幸運にも、海に流れ出たものはなかった。

バックの中には濡れた替えの服があり、彼女のバックからも同じく取り出しながら、昨夜洋服を脱ぎ捨てたことを思い出し、その濡れた衣類を両手に抱え、明るい炎の近くにそっと置いて乾かし始める。

再び彼女の元に戻ると、彼女も自分の姿に気づいた様子で、二人は砂浜を離れ、森林の中へ進んでいった。

森林に入ると、彼は葉っぱを見つけ、華菜の分も手渡すと、体に巻き付けた。しかし、その葉っぱは下半身しか隠しきれなかった。

ふと、彼女が笑うと、彼もつられて笑い声をあげた。

その時、バックの中で何かが鳴っているのに気づき、慌てて戻ると、彼女のバックに入っていたスマートフォンが原因だった。

画面には、読み取れない字で誰かの名前と電話マークがあった。

彼は、これは着信かもしれないと思ったが、ボタンを押すことに躊躇した。おとといの夢の記憶が、彼にその行動を思いとどまらせていた。

すると、着信は切れ、画面には彼女が設定したロック画面の画像が映っていた。

その日付を見て思わず、「えっ?」と小さく叫んだ。

すかさず華菜にそれを見せる。

「これって…」

日付には「2075.12.15」と書かれていた。

確か、子宝島を出たのはスコールが終わった10月の後半だったから、そこから1ヶ月以上も経過していることになる。おそらく船に乗っていた時間のほとんどを含めても、約1ヶ月くらいで、それ以外に10日以上がかかっている。彼は、これはバグだろうと感じるが、同時にそうではないと否定する自分もいて、瞬時に信じ難い事実が彼を襲った。

「これは、どういうことだろう…。」

彼が心配そうに呟くと、華菜は首を振った。

「わからない…」

二人はこのまま砂浜に留まるわけにはいかないので、ここがどこかを調べることにした。

「手…つないで…」と華菜が静かに言う。

「わかった。」彼は頷き、二人は手をつなぎ、砂浜を歩き始めた。