華菜と和弥の待ちに待った遠足
華菜と和弥は、待ちに待った遠足の朝を迎えた。
二人は目を輝かせ、元気に起き上がりリビングへ向かうと、朝食を楽しみ、身支度を整えた。両親に挨拶をした後、外に停まっているタクシーに乗り込んだ。
タクシーに乗ると、運転手は慣れた手際で船着場へと向かう。約10分後、あっという間に目的地に到着した。
運転手が振り返り声をかけると、二人はタクシーから降り、目の前にそびえる大型の旅客船へと進んだ。
船の入り口で、船員の姿が見え、期待に満ちた笑顔で手を振っていた。
「おはよう、華菜ちゃんと和弥くん!準備はできたかな?」
「うん!」と華菜が元気に答えると、その船員は二人を3畳ほどの一室へ案内した。
「ここで過ごすんだよ。」
「ありがとう…」と和弥は小さな声で感謝の言葉を口にした。
「どういたしまして。」
船員が姿を消すと、華菜は目の前の布団に飛び込んだ。和弥もそれに続いて布団に入る。
「あったかい…」と華菜が満足そうに言う。
「そうだね…」と和弥も同意した。
華菜は楽しさでずっと嬉しそうにはしゃいでいたが、和弥は緊張で少し縮こまっている様子だった。
2人が部屋に入ると、しばらくしてから船がゆっくりと動き出した。
「本日は、東京諸島フェリーをご利用いただき、誠にありがとうございます。この船は沖縄本島行きで、次は沖大東島に向かいます。停泊する順番は、沖大東島、南大東島、北大東島、そして沖縄本島南部の糸満となっております。お客様へのご案内です。本船は、台風などによる高波に備え、警戒アラートが発令された際には、各船室での待機をお願いすることがございます。これは皆様の安全を守るための措置ですので、ご協力をお願いいたします。また、警戒アラート発令時には、船内が停電することがあり、感電トラブルを最低限に抑えるための措置となりますので、ご了承ください。本船には、先ほど出発した子宝島から約1,000名の未就学児が乗船しております。何かご不便な点がございましたら、どうぞお気軽にお申し付けください。」
「ねぇ、この船、どこに行くの?」
和弥が華菜に尋ねる。
「うーん…、わからないや。」
それほど興味がないのか、華菜は素っ気なく答えた。和弥は「ふーん…」と言い残し、しばらくして2人は静かに眠りに落ちていった。