未来技術を体験する:和弥の冒険

和弥と彼を連れ出した男性は、建物の中を歩き、とある部屋に入った。

「ここで、君にお願いしたいことを伝えよう。」

その部屋は非常に広く、中央には巨大な球体が鎮座し、周囲の壁は360度のディスプレイで囲まれている、最新技術が詰まった空間だった。

「まず、君にしてもらいたいことがある。これから、君にはこの星に存在するすべての乗り物のシミュレーターテストを受けてもらう。内容は簡単だ。指定されたミッションに挑み、無事にクリアできれば、次のステップに進む。次のステップでは、この巨大な球体に話しかけて、この最新技術の塊を操るテストを行う。」

男性の話のスケールに、彼は少し緊張した。

「大丈夫だ。君の父親はこの星のすべての乗り物を完全に使いこなす達人、野平和夫だ。さらに、君の母親は最先端のAIを活用した情報技術のエキスパート、野平加寿子なんだ。その二人の遺伝子を引き継いでいる君なら、無事にやり遂げられるはずだ。そうだ、私の名前を言っておこう。私はこの建物の管理と、この部屋、そして僅かに残された日本国の領土で技術の総合管理を担う、大台勝司だ。よろしく。」

勝司が手を差し出すと、和弥は自然に握手を交わした。

すると、和弥は安心感を得たのか、早速この巨大な球体に近づいた。

「おっと、テストを受ける気になったようだね。では、その球体に『地球総合乗り物シミュレーターテスト起動開始』と言ってごらん。」

和弥はうなずき、指示されたセリフを言うと、巨大な球体が話し始めた。

「ようこそ、ゲストさん。これから指示されたアクションを実施しますので、少々お待ちください。」

すると、球体に読み込みマークが表示され、くるくると回り始め、数秒後に再び話し始めた。

「このプログラムを起動する前に、ユーザーを登録し、認証を行います。あなたの顔を、私が示した枠に収めて、表示された動作をしてください。」

彼は言われた通りに動く。

「初期認証が完了しました。続いて、二段階認証を行います。」

球体の言葉に続いて、機械のような装置が床から飛び出す。

彼はそれを確認する。

「これから、あなたの健康チェックと二段階認証を行います。私の指示に従ってください。」

彼は、球体が指示する通りに行動した。

「たった今、ゲストユーザーから正規のユーザーとして、あなたは認証されました。これから、あなたのそばにいる審判からゴーグルを受け取り、『テストをスタート』と私にお申し付けください。」

球体がそう言うと、機械は床に収納される。

彼は指示通りにゴーグルを装着する。

そして、彼が「テストスタート」と言うと、球体の画面が変わり、テストのガイダンスが始まった。

「では、これから地球総合乗り物シミュレーターテストを行います。テストの順番はランダムで決まります。あなたのゴーグルの画面に表示される内容に従って始めてください。テストが終了したら、速やかにゴーグルを取り外し、私の指示に再び従ってください。」

球体がそのセリフを伝えると、部屋は静まり返り、数時間かけてテストを終えた彼はゴーグルを外した。

「テストが無事に終了しました。では、次のテストです。今度は、あなたが私をどれほど使いこなせるかを測定します。これから、私は様々な指示やクイズを行いますので、素直に回答してください。このテストは約1時間ほどで終了します。」

そう言って、再び部屋は静まり返り、テストが始まった。


華菜と彼女を連れた女性も、和弥たちと同じように部屋に入っていった。

「華菜ちゃんは、ご両親から何かお話を聞いているかしら?」

すると、彼女は首を振った。

「そうか…じゃあ、私が説明しよう。君の苗字は花堂というの。ちなみに、私の名前は中方真澄。君のご両親は、人類の輝かしい未来を担うかもしれない、とても大切な研究をしているのよ。ほら、耳につけているその機械も、彼らの研究の成果なの。そして、今、君のご両親は、出てきた子宝島に拠点を移して、熱心に研究に取り組んでいるの。それで、君にはご両親の才能に素質があるかどうかを確かめたいのよ。」

真澄は、部屋にある棚の一つからカプセルを取り出した。

「これは、あなたのように物心ついた子供たちが、大人の世界観を味わえる特別な薬なの。そして、この薬には、あなたの将来を感じる力が込められているの。心配しないで、このカプセルの効果は小一時間ほどで切れて、元の姿に戻るから、さあ、早速飲んでみる?」

華菜はカプセルを見つめ、不安そうに頭を振った。

「じゃあ、こうしましょう。」

真澄は、華菜とともに、隣の部屋へとつながるドアを開けて中に入った。

その部屋のベッドの上には、和弥にそっくりな、いや同じ姿をした男の子が寝ていた。

「今から、このカプセルの効果を彼で確かめるから、これを目につけて。」

それはアイマスクだった。

「私が『いいよ』というまでは、外しちゃだめよ。」

真澄はアイマスクをかぶった華菜を抱き、男の子と同じベッドに横たえ、二人の口を少し開いて、そのカプセルを投入した。

すると、瞬く間にベッドの上の二人は体が大きくなり、着ていた服は破けてしまった。

「私は、さっきいた隣の部屋で待っているから、アイマスクを外して楽しんでちょうだい。そして、カプセルの効果が切れたら、ベッドの下にある替えの服を着て戻ってきてね。」

真澄がいなくなったのを感じた華菜は、アイマスクを外した。

目の前には、あの夢で見た大人の和弥がいた。

自然と彼に抱き着いた彼女は、彼と一つになった。